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天測点と子午線標

  以前このコーナーで、美星町三山竜王山にある天測点という観測地跡のことを紹介しました。
 天測点は、星の観測から観測地点の緯度経度を決める天文測量を行う地点として、国土地理院に定められた場所です。現在は天測点での天文測量は行われていませんが、当時、重い測量機器を置き、安定した測定を行うために作られたコンクリートの台座が今も残っています。
 その記事を読まれた人が後日天文台に来られ、天測点と対になる構造物「子午線標」が、美星町明治地区の山中にあるという情報を教えて下さいました。
 子午線標とは、全国各地の天測点にあわせて、測量の基準となる方角を決定するために設置されたコンクリート柱です。天測点から正確に真北か真南の方向に数キロメートル離れた場所で、かつ天測点から直接観測できる所に建てられました。美星の子午線標は天測点より北約2㎞先にあります。
 頂いた地図を頼りに田畑のあぜ道や池の縁、山の斜面の獣道を分け入って探してみたところ、木々に埋もれるように、子午線標と書かれたコンクリート柱が確かにありました。 
 写真の通り周囲には木々が伸び、草も生い茂って、今では少し離れると子午線標は木々に隠されて見えません。しかし、山の半ばのこの場所から竜王山の山頂までの間には、田畑や低めの山があるだけです。当時は山肌の木々も除かれ、観測者の視線は田畑の上空を通って2㎞先までまっすぐ届いていたのでしょう。

案内役 美星天文台技師 村上 紀子(2011年12月掲載)