直線上に配置
バナー


△美星天文台で販売中の隕石(300円~)


星を拾ったときの心得

 最近、立て続けに2件の隕石鑑定依頼が天文台にありました。残念なことに本物の隕石とは確認できませんでしたが。
 天体からのサンプル採取は、「はやぶさ」プロジェクトでも知られたように非常に困難ですから、向こうから飛んでくる隕石はとても貴重な存在です。
 実は毎年たくさんの隕石が地球に落下しているのですが、多くは海や砂漠、森林などに落ちて、人の目に触れずに終わってしまいます。その一方で、日本のように人口密度が高いところに落ちれば、誰でも発見者になれる可能性があるわけです。
 それでは、実際に目の前に隕石が落ちてきたら、どうしたら良いのでしょうか。先の鑑定依頼では、地面にできた穴は埋め戻され、拾われた石はブラシで磨かれた後でした。もし隕石の可能性があるなら、現場は殺人現場なみに厳重に保存しなければなりません。また、隕石とおぼしき石が見つかったら、ビニール袋などで外気と遮断し、急いで専門家に連絡してください。その際、素手で触ることは厳禁です。これは隕石が危険だからではなく、隕石の方をあなたの手の雑菌から守るためです。
 ちなみに、敷地内に落ちた隕石を家族が発見した場合、無条件でその人に所有権があります。それほど貴重な隕石なら、さぞや高値で売れるかも、と思われるかもしれませんが、それは持ち上げられないほど大きい場合の話。数グラム程度の隕石は科学館や天文台でも教材として数百円程度で売られています。

案内役 美星天文台技師 中内 弘(2011年 5月掲載)