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太陽と巨大な星との大きさ比べ。
( )の数字は太陽の直径の何倍あるかを
示す。太陽は小さすぎて見えない。

巨大な星たち

 だんだんと暗くなったころ、頭上を見上げると夏の大三角の星が輝いています。こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブです。小学校の授業で名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。では、「ベガは2.5倍、アルタイルは1.8倍、デネブは200倍」ということは聞いたことがありますか。これは太陽の直径の約何倍あるかを表したものです。太陽は地球の100倍ほどの大きさですから、地球のサイズをビー玉に例えると、太陽は直径1メートル、ベガは2.5メートル、デネブは200メートルの球になるほどです。
 デネブも十分大きいですが、もっと巨大な星もあります。例えば、さそり座のアンタレスは太陽直径の約700倍、オリオン座のベテルギウスは約1000倍です。肉眼で見える最も大きな星の一つに秋の星座ケフェウス座のガーネットスターが挙げられますが、これは何と1400倍もあります。先ほどの例だと1.4キロメートルにもなるわけです。
 巨大な星はどれも私たちから遠く離れています。ベガは太陽系から光で25年かかる距離(約240兆キロ)ですが、デネブは光で1400年もかかるほど遠方にあります。遠くにあるために大きさの割には見た目が暗く、他の星と同じように星座の星の一つとして親しまれています。仮にこれらの巨大な星がベガやアルタイルくらいの比較的近い位置にあったとすれば、ぎらぎらとした輝きで他の星を圧倒していたでしょう。夏の大三角もオリオン座もアンバランスになってしまい、今とは全く違う印象で夜空を見上げることになるのです。



案内役 美星天文台技師補 前野 将太 (2012年 9月掲載)