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摺り袈裟と狐
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 西江原町にある法泉寺ほうせんじは、室町むろまち時代のはじめ、高越山たかごしやま城主じょうしゅ
伊勢氏いせしが、てたといういわれのある寺です。ここには小田原おだわら
城主じょうしゅとして関東一帯かんとういったいを支配した戦国大名せんごくだいみょう伊勢いせ新九郎しんくろう(のちに
北条ほうじょう早雲そううん)が寄進きしんした「袈裟げさ」の版木はんぎがあります。
 この摺り袈裟には、深いいわれがありました。伊豆国いずのくに(静岡県)
修禅寺しゅぜんじの近くの田中庄たなかのしょうに、五郎という正直な百姓ひゃくしょうんでいま
した。ところが、ある日とつぜん、病気でもないのに急にたおれて
死んでしまいました。