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摺り袈裟と狐
3
 五郎がふっと目をさますと、手のひらに袈裟がのせてありました。
そこで五郎は、エンマ大王のいわれた通り、兄の墓に袈裟をかけて
お経をとなえると、墓の中から
 「自分は、今まで地獄で苦しみつづけてきたが、やっと昇天しょうてんして
極楽ごくらくに行けた。」
という声が聞こえてきました。五郎は、このふしぎな力に感心して、
この袈裟を写して版木にほって修禅寺に寄進しました。この話を
聞いた北条早雲は、修禅寺に土地を寄進し、この版木をもらいうけ
て、故郷の法泉寺に寄進しました。