むかしむかしの大むかし、井原
盆地
(
ぼんち
)
(井原市)が、まだ
安那
(
あな
)
の
海とよばれていたころ、今の
市民
(
しみん
)
病院のあたりは一面の
沼地
(
ぬまち
)
で、
鯨田
(
くじらだ
)
と呼ばれていました。
あるばん、
若
(
わか
)
い二人の男女が、丸木船のかげで時のたつのも
わすれて語り合っていました。晴れた夜空には、あたかも二人を
いわってくれているかのように、星が一面にかがやいていました。
ふと、夜もかなりふけかけたことに気づいた二人は、あすの晩も
会う
約束
(
やくそく
)
をして立ちあがりました。