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鯨田ものがたり
 おどろいた二人は、何か変わったことが起こるのではないか
と心配して、村の長老(ちょうろう)の家にかけこみました。
 「たいへんでございます。安那の海に、急に大きな島ができました。」
 「そんな、ばかなことがあるものか。」
 「いいえ、本当でございます。わたしたち二人が、この目ではっきり
見たのですから、まちがいございません。そのうえ、ふしぎなことに、
よく晴れているのに雨が降り続くのです。」
信じられないという顔で聞いていた長老も、おどろいて、二人とともに
浜辺にかけつけてみましたが、そのときには、二人が見たという島は、
もう消えてしまって何もありませんでした。