民話のトップにもどる
鯨田ものがたり
 
 二人は、ふりかかった身のふしあわせに毎日毎晩なき悲しみ、
食事ものどを通らぬありさまでした。しかし、やがてそのなみだが
かれはてるころ、二人は、村人のために死んでゆけることに喜びを
感じたのか、顔にほほえみをうかべながら、
 「わたしたちは、喜んでいけにえになります。」
と言い残して、若い命を神にささげたと言われています。
言うまでもなく、二人の見た島と雨というのは、安那の海に迷いこんだ
クジラのしわざであったということです。