公開日 2017年02月01日
最終更新日 2017年02月08日
- 老人像
- 1907年(明治40年)
- ブロンズ
明治30年代に入るとヨーロッパ文学の影響で、日本でも自然主義文学が流行するようになります。自然主義文学とは、物事を理想化せず、現実をただあ るがままに写し取ることを本来の趣旨としています。その流れは美術界にもおよび、身近で見慣れた題材を平明に表現する傾向になりました。
その影響により、田中は日常に見られる平易な場面にテーマを求めて、このような老人や、子供を主題に制作しています。
この作品は、手のひらの上の、みの虫をじっと見つめる老人の姿を表わしています。同年、第1回文部省美術展覧会に「姉ごころ」を出品、入選を果たし、新進彫刻家としての田中の名前を知らしめました。