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(4)胸骨圧迫、(5)人工呼吸、(6)心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)の継続
(4)胸骨圧迫
傷病者に普段どおりの呼吸がないと判断したら、ただちに胸骨圧迫を開始し、全身に血液を送る。
- 胸の真ん中を、重ねた両手で「強く、速く、絶え間なく」圧迫する。
- 胸の真ん中に、片方の手の付け根を置く。
- 他方の手をその手の上に重ねる(両手の指を互いに組むと効果的)。
- 肘をまっすぐに伸ばして手の付け根の部分に体重をかけ、傷病者の胸が少なくとも5cm沈むほど強く圧迫する。
- 1分間に少なくとも100回のテンポで30回連続して絶え間なく圧迫する。
- 圧迫と圧迫の間(圧迫を緩めるとき)は、胸がしっかり戻るまで十分に圧迫を解除する。
※小児に対しては、両手または片手で、胸の厚さの約1/3が沈むほど強く圧迫する。
(5)人工呼吸
30回の胸骨圧迫終了後、口対口人工呼吸により息を吹き込みます。
(1)気道の確保(頭部後屈あご先挙上法)
傷病者の喉の奥を広げて空気を肺に通しやすくする(気道の確保)。
- 片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先(骨のある硬い部分)に当てて、頭を後ろにのけぞらせ(頭部後屈)、あご先を上げる(あご先挙上)。
ポイント
- 指で下あごの柔らかい部分を強く圧迫しないようにする。
(2)人工呼吸
- 気道を確保したまま、額に当てた手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまむ。
- 口を大きくあけて傷病者の口を覆い、空気が漏れないようにして、息を約1秒かけて吹き込む。
傷病者の胸が持ち上がるのを確認する。 - いったん口を離し、同じ要領でもう1回吹き込む。
ポイント
- 2回の吹き込みで、いずれも胸が上がるのが理想ですが、うまく胸が上がらない場合でも、吹き込みは2回までとし、すぐに胸骨圧迫に進む。
- 簡易型の感染防護具(人工呼吸用マスク等)があると役立ちます。
- 傷病者の顔面や口から出血がある場合や、感染防護具を持っていなくて口対口人工呼吸が躊躇される場合には、人工呼吸を省略し、胸骨圧迫のみを続ける。
(6)心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)の継続
- 胸骨圧迫を30回連続して行った後に、人工呼吸を2回行う。
- この胸骨圧迫と人工呼吸の組み合わせ(30:2のサイクル)を、救急隊に引き継ぐまで絶え間なく続ける。
ポイント
- 疲れるので、もし救助者が2人以上いる場合は、1~2分間程度を目安に交代し、絶え間なく続けることが大切である。
- 心肺蘇生法を中止するのは、(1)心肺蘇生を続けているうちに傷病者が目を開けたり、普段どおりの呼吸をし始めた場合。(2)救急隊に心肺蘇生法を引き継いだとき(救急隊が到着してもあわてて中止せず、救急隊の指示に従う。)