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かな書の巨匠 安東聖空「歴代天皇御製百首」展

公開日 2017年02月16日

最終更新日 2017年02月21日

過去の特別展

かな書の巨匠 安東聖空(あんどうせいくう)
「歴代天皇御製百首(れきだいてんのうぎょせいひゃくしゅ)」展

会期

平成20年6月8日(日)~平成20年8月24日(日)

会場

井原市田中美術館 別館2階展示室

休館日

月曜日(ただし、月曜日が祝日又は振替休日のときはその翌日)

入館料

  • 一般:400円
  • 高校生以下及び65歳以上の高齢者:無料

内容

 このたび当館では、書家・安東聖空の集大成であり、書道史に残る傑作とたたえられる名品「歴代天皇御製百首」のうち四十七首を精選し、企画展を開催します。
 安東聖空は、わが国の伝統芸術、かな書道の最高峰とたたえられた巨匠です。明治26年(1893)に兵庫県姫路市に生まれた聖空は、最初、漢字を学びま したが、そのかたわら“かな”を独習し、平安朝の古筆とかな書法を理想として、研究と実践に努めました。昭和23年からは、第五科(書)が新設された日展 を中心に、展覧会場で鑑賞されるにふさわしい芸術としての「大字(だいじ)かな」運動に尽力し、現在のかな書の隆盛を導く上で、重要な役割を果たしまし た。これらの活動により、会場芸術としての現代かなが、ひとまず様式的に確立するのを見届けてのち、「大字かな」の展開は後進に委ね、自己を改めて厳しく 見つめ直しました。聖空は、昭和44年頃から、かなの美を、簡素の美、余白の美、流麗の美、濃淡の美、料紙の美の5つに規定して、小字かなに徹し、変体か なを排するという姿勢をもって、その理想を実現すべく最晩年に至るまで研鑽(けんさん)を続けました。昭和55年には文化功労者、57年には、皇居での 「歌会始」において、書道界ではじめての召人に選ばれました。翌58年(1983)、89歳で惜しまれつつ逝去しました。
 「歴代天皇御製百首」は、書業70年の集大成として、昭和55年、聖空87歳の時に謹書されました。7世紀から20世紀に至る歴代天皇の御製中の名歌百 首の選定は、侍従長(当時)・入江相政(いりえすけまさ)(明治・大正・昭和の御三代)、歌人・木俣修(きまたおさむ)(舒明(じょめい)天皇から孝明 (こうめい)天皇まで)の両氏によるものです。
 歴代天皇五十三方(かた)のお人柄とその歌の心に思いをはせながら、自らの書業の集大成として、精魂傾けて謹書された百首は、いずれも歌と書が渾然(こんぜん)一体となっており、そこに汲めども尽きぬ美しさがあります。
 書家として最円熟期にあった作者会心の作であり、一首ごとに厳選された料紙の華麗さと優雅な筆勢は、まさに「かな美」の極致で、安東芸術の神髄と言っても過言ではないでしょう。
 本展において、あわせて寄贈された、遺愛の文房至宝の名品とともに、日本人の宝ともいうべき“かな”で、日本の心を表そうと情熱を傾けた安東聖空の芸術にふれていただければ幸いです。

《出品作品》 

安東聖空書52点  
  遺愛品(硯、墨床(ぼくしょう)、筆架(ひっか)、矢立(やたて)など)35点
  同時代の書家の作品7点  
桑田笹舟(くわだささふね)(1900-1989・福山市出身)、日比野五鳳(ひびのごほう)(1901-1988)、大石隆子(1901-2001)、宮本竹逕(ちくけい)(1912-2002・福山市出身)
  合計94点

作品の紹介

作品の画像1
後冷泉天皇 岩間より
作品の画像2
昭和天皇 にし東
作品の画像3
聖武天皇 けさの朝明
作品の画像4
舒明天皇 夕されば