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霊亀随
- 霊亀随
- 1936年(昭和11年)
- ブロンズ
浅野長勲は旧広島藩主で、維新後は広島県知事となり、その後東京に出て政界や実業界で活躍した人物です。田中は昭和8年に肖像の依頼を受け、衣冠に身を正した「浅野長勲公寿像」を制作しています。
当時はすでに90歳を越え政、財界を退いていましたが、供を連れて戸外をゆったりと散歩する風格のある姿に深い印象を受け、この作品を作りました。福徳円満な人が街を歩くと、めでたいしるしである亀がついてゆくという中国の故事を思い出し、公が長寿を保っておられるのは、この霊亀が守っているのであろう、という思いが込められています。