本文
老君
- 老君(ろうくん)
- 制作年不詳
- 木彫彩色
老子は中国周代の哲学者で道家の祖であり、周の蔵室(宮廷の図書館)を管理する役人でした。周が衰徴すると国の混乱をのがれ函谷関に行きついたとき関守の伊喜に道を求められました。そして「老子道徳経」を説いたといわれています。
この作品は、日本で唐絵の最高作家との評価を得ていた牧谿が描いた「老子図」(当時、紀州徳川家所蔵)を見て、その顔が面白く、そこからヒント を得て制作したといわれています。牧谿の「老子図」はやや斜めをむいた図柄で極めて個性的な異相をあらわしていますが、その特色はかなり正確にこの像の上に再現されています。しかも絵画にはない側面のポーズがあり、これも面白く表現されています。