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五十鈴老母
- 五十鈴老母(いすずろうぼ)
- 1972年(昭和47年)
- ブロンズ
伊勢にある餅屋の老舗「赤福」のおばあさん、浜田満寿さんをモデルにしています。作品名は、伊勢の五十鈴川に別荘を構えていたことに由来しています。
田中が101歳のときの作品ですが、制作にとりかかったのはそれより5・6年前にさかのぼります。初めは別荘に赴き、そこで顔の部分だけ粘土で作り、あとは自分のアトリエに持ち帰り仕上げました。
田中自身が後に、モデルの印象をこう記しています。「当時80歳を少し出たくらいのお年だったと思うが、その年にして何ともいえぬお色気があり、ちょこんとお坐りになった姿が、なんともいえぬくらい可愛らしい人であった。」
田中は昭和に入りめきめきと肖像彫刻の腕を上げていましたが、この作品もその一つといえます。