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姉ごころ
- 姉ごころ
- 1907年(明治40年)
- ブロンズ
これは、田中が彫刻家を目指し本格的に修業をつみ、その成果が表れ出した頃の作品です。第1回文展入選作品であり、次第に作家として認められるようになりました。
赤ん坊を抱いた少女を描いたもので、不慣れな抱き方の中にも、やさしさが感じられます。この頃は、老人や遊んでいる子供をテーマにしたものなど、日常的なところに題材を求めた時期でした。
田中はこの頃から、抜群の描写力をもっていましたが、それを誇示することもなく、「ものをよくみる」気持ちの方がむしろ全体をコントロールしていて、地味ですが作者の人間性が表れています。