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井原線開業1周年記念 「近代彫刻界の巨匠 ブールデル展」-造形の叙事詩-
過去の特別展
井原線開業1周年記念「近代彫刻界の巨匠 ブールデル展」-造形の叙事詩-
会期
2000年4月21日~6月4日
内容
ブールデル(1861年 南フランス・モントーバン-1929年 パリ郊外ル・ヴェジネ)は、ロダンの様々な可能性の中で男性的で力強い側面を受け継ぎ、発展させ、「弓を引くヘラクレス」「アルヴェアル将軍記念碑」などの傑作を生み出した偉大な彫刻家です。その健剛でモニュメンタルな作品の数々は、世界の芸術に大きな影響を与えました。日本では大正から昭和にかけて、多くの彫刻家がフランスに渡り、彼のもとで研鑽を積んでいます。
井原市出身で、明治・大正・昭和にかけて西洋の造形精神と日本の伝統的な美意識との融合を目指し、制作を続けた平櫛田中(1872年~1979年)は、ほぼ独学で彫刻の道に入り、明治の写実主義彫刻の洗礼や岡倉天心の薫陶を受けて、高い精神性をもった男性的な作品を生み出しました。
美術評論家の今泉篤男氏は、田中が百歳の頃、「私はひとりの人形師だ。弟子のような若い人々からも色々と教わって、今日まできた…」と呟くのを、一度ならず耳にした、と記しています。この言葉からも知られるように、田中には、若い頃から思考の柔軟性、技術、知識に対する積極的な摂取欲があり、ロダンやブールデルなどの西欧の彫刻家たちにも深い関心を寄せていました。
この展覧会では、国内各地の美術館等に所蔵されるブールデルの作品を紹介し、田中美術館を訪れる多くの方々に彫刻の素晴らしさを改めて実感していただければと願い、展観いたしました。
主な出品作品
- 「髪の短いベートーヴェン」
- 「裸の戦士(モントーバン記念碑のための習作)」
- 「苦悩」
- 「政策するロダン」
- 「高貴な重荷」
- 「勝利」
- 「帽子を被った自刻像」