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平櫛田中美術館は、近代彫刻界(きんだいちょうこくかい)の巨匠(きょしょう)・平櫛田中(ひらくしでんちゅう)の作品を保存展示して、ながくその偉業(いぎょう)をたたえるとともに、郷土(きょうど)文化の向上に役立てるため、昭和44年に「田中館(でんちゅうかん)」として開館しました。
昭和48年には博物館法により登録され、「田中美術館(でんちゅうびじゅつかん)」と改称(かいしょう)、昭和58年には井原市の市制施行(しせいしこう)30周年を記念して新館を開館しました。
そして、施設の老朽化(ろうきゅうか)のため新館リニューアル建設工事に着手し、「平櫛田中美術館」として井原市の市制施行70周年となる令和5年4月18日にリニューアルオープンしました。
所蔵品(しょぞうひん)は、生前(せいぜん)に田中が市内の小・中・高校へ寄贈(きそう)していた作品や、「田中館」の開館により新しく寄贈された作品と、田中歿後(ぼつご)遺族(いぞく)から贈られた遺作・遺品を中心とし、田中との関係の深い日本美術院の作家や平櫛田中賞受賞作家の作品があります。
美術館前には、田中の作品を配した公園「田中苑(でんちゅうえん)」があり、四季折々の自然をたのしむことができます。
広島県神辺町(かんなべちょう)出身の日本画家・金島桂華(かなしまけいか)の作品約270点(素描:そびょうを含む)を主体に、横山大観(よこやまたいかん)、橋本関雪(はしもとかんせつ)、児玉希望(こだまきぼう)、前田青邨(まえだせいそん)、池田遙邨(いけだようそん)、梅原龍三郎(うめはらりゅうざぶろう)など近現代の日本画壇(にほんがだん)・洋画壇を代表する作家の作品約500点を所蔵(しょぞう)しています。
展示室(てんじしつ)は第一展示室、第二展示室と『はなとり展示室』があり、各展示室ではテーマを設定(せってい)して展示するほか、『はなとり展示室』はお茶席、講演会(こうえんかい)などの催し(もよおし)のできる多目的スペースとなっています。
日本庭園『華鴒園(はなとりえん)』は上田宗箇流(うえだそうこりゅう)第十五代家元(いえもと)・上田宗源宗匠(うえだそうげんそうしょう)の設計・監理(かんり)によるもので、茶道の風雅幽寂(ふうがゆうじゃく)の境地(きょうち)を表現して、和風建物(わふうけんちく)の美術館に風情(ふぜい)をそえています。
井原市文化財(ぶんかぜい)センター「古代まほろば館」は文化財に対しての興味(きょうみ)や関心(かんしん)を深めていただくための施設です。
1階の大半は展示室が占めていて、市内から出土(しゅつど)した考古学資料(こうこがくしりょう)を中心に、弥生時代(やよいじだい)から古墳時代(こふんじだい)というように時代別に展示をしています。出土した資料を実際にさわったり、銅鐸(どうたく)の文様(もんよう)を写し取ったりするなどの体験もできます。
2階は、市民を対象とした文化財の講座や研修の場として利用している研修室、市内から出土した埋蔵文化財(まいぞうぶんかざい)の洗浄(せんじょう)、接合(せつごう)、復元(ふくげん)などをおこない、市民に公開できるようにしている整理作業室などからなります。
また、毎月文化財センター講座が開かれていて、体験講座、考古学講座、文化財めぐりなどがおこなわれています。
芳井歴史民俗資料館では、町内から出土した土器や化石、民具(みんぐ)や古文書(こもんじょ)などが展示されており、芳井の歴史が時代を追って学べるようになっています。
館内の一角には「雪舟(せっしゅう)と重玄寺(ちょうげんじ)について知りたい」と訪ねて来られる方のために雪舟コーナーが設けられ、また年二回開催される特別展では郷土ゆかりの人物や歴史、産業などをテーマにユニークな展示を行っています。
美星スペースガードセンター展示館は、日本スペースガード協会の活動を紹介している展示館です。
美星スペースガードセンターの活動は、地球に接近する小惑星(しょうわくせい)や宇宙開発に影響を及ぼす可能性のあるスペースデブリ(宇宙ゴミ)を監視(かんし)するための観測施設(かんそくしせつ)です。 2000年に「美星スペースガードセンターが最大級の地球接近小惑星を発見」というニュースがありました。この惑星は恐竜(きょうりゅう)たちを滅(ほろ)ぼした隕石(いんせき)と同程度(どうていど)の大きさと言われていますが、それまで地球に接近する全ての小惑星は発見済みと思われていたため、この発見によりまだ発見されていない小惑星があることが分かり、かなり衝撃的(しょうげきてき)なニュースとして取り上げられました。
美星スペースガードセンターには入ることができませんが、展示館には入ることができます。美星天文台を訪れた方はぜひ入られることをおすすめします。