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月姫
- 月姫(つきひめ)
- 1951年(昭和26年)
- 木彫金箔
この作品は、別名「金蟾公主(がまのおひめさま)」ともいいます。
田中は、中国製のヒキガエルの形をした水柱(すずりに水を入れる水注ぎ)を愛用していました。教授をしていた東京芸術大学の教室に来たモデルが気に入り、このユーモラスなカエルの上に立たせた形で制作したのがこの作品です。
月の精を彫刻にしてみたわけですが、二千年前の中国の歴史書に出てくる象徴的なカエルと現代日本の娘のリアルな裸体像は不思議な取り合わせで、古代からの仏教彫刻のテーマである「邪鬼を踏みつける神像」が念頭にあって作ったのではないでしょうか。若い学生たちに囲まれて80歳の田中が作った興味深い作品です。