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父母の離婚後の子の養育に関する民法等の改正について

ページID:0017277 更新日:2026年4月1日更新 印刷ページ表示
 令和6年5月17日、民法等の一部を改正する法律が成立しました。
 この法律は、父母の離婚等に直面する子の利益を確保するため、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与等に関する民法等の規定を見直すものです。
 施行日は、令和8年4月1日です。

主な改正のポイント

1 親の責務に関するルールの明確化

 父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されています。

親の責務には、次のようなものがあります。

こどもの人格の尊重

  • こどもが心も体も元気でいられるよう育てること
  • こどもの意見にきちんと耳を傾けること

こどもの扶養

  • こどもが親と同程度の生活水準で暮らせるよう養うこと

父母間の人格尊重・協力義務

  • こどものためにお互いを尊重して協力し合うこと

 父母の一方が父母相互の人格尊重・協力義務等に違反した場合には、親権者の指定または変更の審判、親権喪失または親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。他方の親権に対する侵害の程度によっては、損害賠償義務等が生ずることもあり得ます。

次のような行為は、この義務に違反する場合があります。

  • 父母の一方から他方への暴行、脅迫、暴言等の相手の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷、むやみな訴訟等
  • 父母の一方が、他方による日常的なこどもの監護に、不当に干渉すること
  • 父母の一方が、特段の理由なく他方に無断でこどもを転居させること
  • 父母間で親子交流の取決めがされたにもかかわらず、その一方が特段の理由なく、その実施を拒むこと

 (注)DVや虐待から避難するために必要な場合などは、この義務に違反しません。

こどもの利益のための親権行使 

  • こどもの利益を一番に考えて、親権(こどもの世話や財産の管理など)を行わなければならないこと

2 親権に関するルールの見直し

父母の離婚後の親権者

  • これまでの民法では、離婚後は、父母の一方のみを親権者と定めなければなりませんでしたが、今回の改正により、離婚後は共同親権の定めをすることも、単独親権の定めをすることもできるようになります。

親権の行使方法(父母双方が親権者である場合)

  • 親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他方が行います。

次のような場合は、親権の単独行使ができます。

  ・監護教育に関する日常の行為をするとき

  ・こどもの利益のため急迫の事情があるとき

  • 特定の事項について、家庭裁判所の手続きで親権行使者を定めることができます。

(1) 監護教育に関する日常の行為

 日々の生活の中で生じる監護教育に関する行為で、こどもに重大な影響を与えないものをいいます。

日常の行為に当たる例、当たらない例としては、次のような場合があります。

日常の行為に当たる例(単独行使可) 日常の行為に当たらない例(共同行使)
  • 食事や服装の決定
  • 短期間の観光目的での旅行
  • 心身に重大な影響を与えない医療行為の決定
  • 通常のワクチンの接種
  • 習い事
  • 高校生の放課後のアルバイトの許可
  • こどもの転居
  • 進路に影響する進学先の決定
    (高校に進学せずに就職するなどの判断を含む)
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設など)

(2) こどもの利益のため急迫の事情があるとき

 父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合をいいます。急迫の事情があるときは、日常の行為に当たらないものについても、父母の一方が単独で親権を行うことができます。

急迫の事情の例としては、次のような場合があります。

  • DVや虐待からの避難(こどもの転居を含みます)をする必要がある場合(被害直後に限りません)
  • こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合
  • 入学試験の結果発表後に入学手続の期限が迫っているような場合

監護についての定め

  • 父母離婚後のこどもの監護についてのルールが明確化されました。

監護の分担の例として、次のような定めが考えられます。

  ・平日は父がこどもの監護を担当し、土日は母が担当するといった定め

  ・父母が週ごとに交互に子を監護するといった定め

3 養育費の支払確保に向けた見直し

  • 養育費の取決めに基づく民事執行手続きが容易になり、取決めの実効性が向上します。
  • 養育費の取決めがない場合にも、暫定的な養育費(法定養育費)を請求することができる制度が新設されます。
  • 養育費に関する裁判手続の利便性が向上します。

4 安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し

  • 家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に行うこと(試行的実施)に関する制度が設けられています。
  • 婚姻中の父母が別居している場面の親子交流のルールが明確化されています。
  • 父母以外の親族(祖父母等)とこどもとの交流に関するルールが設けられています。

5 財産分与に関するルールの見直し

  • 財産分与の請求期間が2年から5年に伸長されています。
  • 財産分与において考慮すべき要素が明確化されています。
  • 財産分与に関する裁判手続の利便性が向上します。

6 養子縁組に関するルールの見直し

  • 養子縁組がされた後に、誰が親権者になるかが明確化されています。
  • 養子縁組についての父母の意見対立を調整する裁判手続が新設されています。

7 その他の改正

  • 改正前は、夫婦の間で結んだ契約を、いつでも一方的に取り消すことができることとされていましたが、今回の改正で、この規定が削除されました。
  • 改正前は、強度の精神病にかかって回復の見込みがないことが、裁判離婚の事由の一つとされていましたが、今回の改正で、この規定が削除されました。
  詳しくは、下記法務省ホームページをご確認ください。